未来に向けて自立力を身につける!宿泊型自立訓練とは何か?
たびたび耳にする自立訓練の中には、宿泊型自立訓練というものがあります。当人にとって自立して生活するのは大変なことですが、だからこそ、実現できたときの喜びはひとしおかもしれません。今回の記事では、宿泊型自立訓練について解説します。概要を踏まえたうえで今後の取り組みに活かしてみてください。
宿泊型自立訓練とは?
本題に入る前に、まずは自立訓練とは何か、改めて確認しておきましょう。自立訓練とは、障害をもった人たちが自立して生活するための訓練のことです。2013年に施行された障害者総合支援法で、指定障害福祉サービスの一環として位置づけられています。
宿泊型自立訓練もまた、この趣旨の延長線上にあります。障害をもった人たちに夜の間、暮らせる場所を提供したうえで、食事をはじめ、家事全般、入浴など、日常的な営みを訓練し、生活能力の向上を図るものです。
ちなみに、生活上、不可欠な一連の動作は、前述した以外にも、起居動作、移乗、移動、更衣、整容、排泄などがあり、Activities of Daily Livingを略してADLと呼ばれています。
]宿泊型自立訓練の対象者になっているのは、日中、就労したり、障害福祉サービスの利用があったり、自立した毎日を送るために生活能力の維持と向上が必要な、障害をもった人たちです。気になる費用についてですが、基本的に本人の1割負担となっています。
自己負担の上限額は、18歳以上では、利用者本人と配偶者の所得、18歳未満では、見守り役の保護者が属する世帯の所得、それぞれに合わせて決定する仕組みです。また、標準利用期間は原則として1年間で、利用開始から3か月ごとに市町村単位で更新について検討し、支給手続きすることになっています。
宿泊型自立訓練で身につく自立力
では、宿泊型自己訓練で身につく自立力には、いったいどんなものがあるのでしょうか。先ほども述べたADLには、実は、2通りのものがあります。BADLと呼ばれる基本的生活動作は、起居動作から移乗、移動、食事、排泄、入浴といったものまで。もうひとつは、IADLと名づけられた手段的日常動作です。
掃除はもちろんのこと、料理、洗濯、買い物などのいわゆる家事全般、電車やバスなどの交通機関の利用、電話の応対、さらに金銭管理まで含んでいます。日常生活をつつがなく営むうえで、両方とも欠かせない動作といえるでしょう。
これらの生活能力が低下すると、社会への関心や参加が途絶え、引きこもりへ進展するリスクが高まります。さらに症状が進むと、肉体的にも精神的にも衰え、最悪の場合、日常生活動作も困難になり、要介護、あるいは寝たきり状態にもなりかねません。
障害をもたない、多くの人たちにとって当たり前のことが、裏を返せば、スムーズな日常生活をいかに安定的に支えているか、端的に物語っているのではないでしょうか。宿泊型自立訓練は、以上挙げてきた日常生活動作の能力維持、向上が期待でき、自立した暮らしに向けての大きな後押しになります。
宿泊型自立訓練のメリットと効果
今まで解説してきたように、宿泊型自立訓練を通して得られる最大のメリットは、自分の力でふだん通りの生活ができるようになることです。具体的には、料理を作ったり、掃除をしたり、洗濯をしたり、電車に乗ったり、お小遣い帳をつけたり、日常の中でちょっとした行動やふるまいが可能になります。
また、宿泊する施設のスタッフたちと一緒にさまざまに作業することで、コミュニケーション能力のレベルアップも期待大。他者との円滑なやりとりは、自立した生活を継続する意味でも、とても重要な意味をもちます。
施設には本人以外にも利用者がいるので、友達が増えて交友関係が広がったり、深まったりすることもあるでしょう。ひとつの場所で同じ時間を過ごすと、自然に親近感が湧いてきて、仲良くなりやすいものです。
同じ話題を共有し、笑い合ったりすれば、のちのちいい思い出になりますし、精神面、肉体面の健康にもつながります。実際に利用する前に、ある程度、目的意識をもつとやりがいが出てくるかもしれません。
たとえば、病身ながらもひと通り自分で生活できるようになりたい、悩みの種である食事の準備など、食生活全般のことを身につけたい、あるいは、お金の管理をしっかりしたい、今後の就職のための礎にしたい、など、利用者それぞれにテーマがあることでしょう。
将来に向けて自立力を鍛えるうえで、宿泊型自立訓練は大切なプロセスになるはずです。
まとめ
いかがだったでしょうか。日常生活におけるいろいろな動作やふるまいは、何気なくできる人にとっては特別に意識することではないかもしれません。しかし、障害をもった人にしてみれば、ひとつひとつ、相当な負荷がかかるもので、日々暮らしていく中で大きく立ちはだかる壁ともいえます。
今回の記事では、宿泊型自立訓練とは、どんなものなのか、解説してきました。だいたいの内容は理解できたでしょうか?自立して生活することで、別の課題が出てくるものですが、乗り越える楽しさもまたあります。本稿で説明した情報が、みなさんにとって有益なものとなればうれしい限りです。