就労継続支援B型とは?基本情報を徹底解説!
就労継続支援B型とは、障がいや年齢などの理由で雇用契約を結んで働くことが難しい方に向けて、就労の機会を提供する障がい福祉サービスです。働くうえで必要な知識の習得や能力の向上を目指しています。
今回は、就労継続支援B型の基本情報について、詳しく解説していきます。
就労継続支援B型とは?
就労継続支援B型とは、一般企業への就職が難しい障がいを持つ方が雇用契約を結ばずに就労訓練を受けることができる障がい福祉サービスです。働くうえで必要とされる知識の習得や能力の向上を目的としています。
就労継続支援には、A型とB型の2種類ありますが、A型では基本的に雇用契約を結び、給与を受け取ることができます。一方で、B型の場合は雇用契約を結ばないため、給与ではなく工賃を受け取ります。
就労継続支援B型事業所で行われる生産活動は、農作業や部品加工などの軽作業がほとんどです。就労継続支援A型と比べ、より細分化された作業を行います。
就労継続支援B型の場合、自身の障がいの特性や症状に合わせて、自分のペースで働けるメリットがあります。国内で30万人以上が就労継続支援B型事業所を利用しています。
就労継続支援B型の仕事内容
就労継続支援B型の仕事内容は、事業所によってさまざまです。一例として、パンやお菓子などの製造、ミシン作業、袋詰めや値札付けなどの作業があります。
就労継続支援B型の利用者が行う作業は、「生産活動」と呼ばれています。たとえば、パンの製造販売を行う事業所の場合、一人で全ての工程を行うのではなく、複数の利用者で役割を分担しています。
さらに、担当の職業指導員や生活支援員が作業をサポートしています。利用者は、生産活動の対価として、給与ではなく工賃を受け取ることができます。
就労継続支援B型は、A型と違って雇用契約を結ばないため、法律で決められた最低賃金を下回ることがほとんどです。2021年に厚生労働省が行った調査によると、平均月額工賃は16,507円です。
時間給に換算すると、233円です。しかし、近年は工賃アップの取り組みが各都道府県で行われており、実際に成果を上げているところもあります。
就労継続支援B型の利用料金や利用期間
就労継続支援B型を利用するためには、利用料金が必要です。利用者負担は、利用料金に対して原則1割とされています。
ただし、利用料金は世帯収入によって負担額の上限が決められています。条件によって、0円、9,300円、3万7,200円のいずれかが上限となります。
就労継続支援B型の対象者は、身体障がいや知的障がい、精神障がいや難病を持つ方と定められています。また、その中でもいくつか条件があり、就労経験を持つ方や50歳以上の方などが対象となります。
ただし、事業所の利用に関しては臨機応変に対応される場合もあるため、居住している自治体に確認してみましょう。利用期間についても特に上限は定められておらず、じっくりと時間をかけて経験を積むことができます。
なお、就労移行支援を利用する場合は、2年間の利用期限が設けられています。2年間就労移行支援を利用した後、一般企業での就職につながらなかった場合は、就労継続支援B型で引き続きトレーニングを受けることが可能です。
就労継続支援B型に通いながら受けられる制度
就労継続支援B型事業所で工賃を受け取りながら、同時に受けられる制度があります。制度について詳しく紹介します。
失業等給付
就労継続支援B型と失業等給付の両方の受給要件を満たしている場合は、工賃を受け取りながら就業等給付を受けられる可能性があります。受給資格の要件については、利用者の状況によって異なるため、お住まいの近くのハローワークで確認してみましょう。
なお、就労継続支援A型を利用している場合は、雇用契約を結んでいるため、失業等給付の対象外となります。
障がい年金
働きながら障害年金を受給できるケースがあります。障がい年金とは、障がいや疾患などで生活に支障をきたす場合、年齢に関わらず受け取れる年金のことです。
障がい年金は、障碍者手帳の有無に関係なく受け取ることができます。障がい年金の受給資格については、市区町村の国民年金窓口や年金事務所で確認してみましょう。
生活保護
生活保護とは、障がいや疾患などが原因で働くことが難しい方に向けて、健康で文化的な生活を保障するための費用が支給される制度のことです。生活保護を受けるためには、所有している資産や親族の援助の可否など、さまざまな条件が定められています。
支給額は、地域や世帯の状況によっても上下します。居住している地域の福祉事務所の生活保護担当に相談してみましょう。
就労継続支援B型の利用方法
就労継続支援B型を利用するための手順を解説していきます。
就労継続支援B型の事業所を探す
就労継続支援B型を探す方法としては、市区町村の障がい福祉窓口やハローワークで相談する方法があります。あるいは、自身でパソコンを使って探すことも可能です。
病院やクリニックが事業所を運営していることもあるため、紹介を受けられることもあります。気になる事業所があれば、まずは見学や体験に申し込んでみましょう。
見学や面談を通して、実際の事業所の雰囲気や作業内容が把握できます。そのうえで、通いたい事業所が見つかったら、市区町村の窓口で利用申し込みを行います。
なお、申請の際には「サービス等利用計画」を作成する必要があります。作成は自分自身で行うこともできますが、相談支援専門員にお願いすることもできます。
まずは窓口の担当者に相談してみましょう。
受給者証の発行手続き
就労継続支援B型事業所に通うためには、受給者証の発行が必要です。受給者証を発行するためには、まず市区町村の窓口で申請を行います。
申請後は、市区町村の認定調査員による訪問調査を受けます。利用者の生活状況や障がいについて、いくつかの調査項目があります。
これらの調査内容が受給者証を発行するための重要な資料となります。また、受給者証を発行するためには、サービス等利用計画の作成が必要です。
サービス等利用計画は、利用者自身で作成もしくは、担当者から紹介された特定相談支援事業者に依頼することができます。給付の決定後は、計画書の内容に沿って支援が行われます。
また、事業所に通う前に最長で2か月間の体験利用ができることもあります。体験利用することで、サービスが自身の特性に合うかどうか判断することができます。
受給者証の申請から発行までにかかる期間は、約2か月ほどです。ただし、お住まいの市区町村によっては、多少前後することもあります。
申請にあたって必要なものは、「印鑑」と「氏名や住所がわかるもの」、「障がいや疾患が確認できる診断書や障がい者手帳」の3点です。そのほかにも、市区町村によっては健康保険証や収入についてわかる書類などが求められるケースもあります。
申請前にあらかじめ窓口に必要なものを確認しておきましょう。
まとめ
今回は、就労継続支援B型の仕事内容や利用方法などの基本情報を紹介しました。就労継続支援には2種類ありますが、A型とB型の違いは、雇用契約の有無です。
就労継続支援B型では、雇用契約を結ばずに働く機会を得ることができます。そのため、給与ではなく、作業に応じた工賃を受け取ることになります。
就労継続支援B型の工賃だけでは生活するのが難しいという方は、障がい年金や生活保護などを併用できることがあるため、市区町村の窓口で確認してみましょう。なお、就労継続支援B型を利用するためには、受給者証の発行が必要です。
本記事が参考になれば幸いです。