自立訓練の訓練方法とは?プログラムの内容を詳しくご紹介!
自立訓練というものをご存じですか?障害を抱えている方が自分の力で日常生活を送れるように、さまざまな能力を身に付けるための訓練のことです。自立訓練は種類が多く、目的にあわせたものを選ぶ形になっています。今回は、自立訓練にはどのような種類があるのか詳しく説明します。
生活系プログラムの内容と訓練方法
生活系プログラムとは、障害のある方が自立した生活を送るということを目標に、生活能力の向上を目指して行われるプログラムです。対象者は入所施設を退所した人、病院から退院した人、自立訓練を行うことにより能力が安定する人、特別支援学校を卒業した人などです。
原則2年間行われますが、長期間入院していたなど生活機能を取り戻すのに時間がかかった場合は3年間に延長されます。食事や掃除・洗濯といった家事、着替え、身だしなみ、公共施設や交通機関の利用、生活面におけるマナー、金銭面の管理などに関してスタッフが1から手順を教え、自分でできる力を身に付けていきます。
種類は主に3つ
自立訓練の生活系プログラムは事業所で行われます。事業所も種類が複数存在し、主に通所型、訪問型、宿泊型の3つに分けられます。利用者が事業所に訪問し、その場で訓練を行うのが通所型です。もっとも数が多く、それぞれの地域に根差した活動を行っています。
訪問型とは、スタッフが利用者の自宅を訪れてその場で訓練を行うタイプの自立訓練です。事業所へ通うことが難しい段階の利用者にとってはありがたい限りでしょう。宿泊型は訓練やサービスを利用している人に泊まる場所を提供し、宿泊して家事やお風呂といった生活能力を身に付けるためのトレーニングを行います。
また、これらのうち障害者総合支援法が定めているサービスを2つ以上取り扱っている事業所は多機能型に分類されます。生活系プログラムなどの自立訓練を行うだけでなく、就労支援や就労継続支援も同時に行える点が特徴的です。
コミュニケーション系プログラムの内容と訓練方法
コミュニケーション系プログラムは、対人関係を良好に保つスキルを身に付けるためのプログラムです。あいさつやコミュニケーションをとるための学習といった基本的な部分から、社会で生きていくうえで必要なマナーを身に付ける、グループを作りレクリエーションを行って協力して仕事する能力を向上させる、自分が思っていること・考えていることを相手に伝える自己表現能力を磨くなど、さまざまな訓練を行います。
スタッフとペアになって行うのが基本ですが、コミュニケーションスキルが身に付いたと判断された場合利用者同士で交流を行うこともあります。
ソーシャルスキルトレーニングとは
コミュニケーション系プログラムの1つとしてソーシャルスキルトレーニングがあげられます。日常生活だけでなく社会で生活していくためのスキルを身に付けるという意味が込められており、ゲームやディスカッション、ロールプレイングを通して仕事の仕方を学んでいくのです。
体調管理系プログラムの内容と訓練方法
自分の体調を自分で管理できなくては、1人の自立した人として生活していくことが難しくなってしまいます。スポーツやレクリエーションで体力を向上させ、自分で生活リズムを整えたりストレスを発散する方法を身に付けたりして、健やかな日常を送れるようサポートするのが体調管理系プログラムです。疲れる、ストレスを感じているとどんな状態になるのかを理解して、その対処法を学んでいきます。
就労系プログラムの内容と訓練方法
自立訓練の各プログラムによって生活能力や対人スキルが充分身に付いたら、就労系プログラムに取り組み就労に向けての準備を行います。ビジネスマナーやワード・エクセルといったパソコンスキル、書類の作成方法を学びます。
社会で働く際に必要な能力はもちろん、忙しそうにしている上司に話しかけるときの声のかけ方や同僚との協力の仕方、自分のキャパシティを超えた仕事を断る方法などを、実際にスタッフやほかの利用者とチームを組んで身に付けていくのです。
利用できるのは障害を抱えた人だけではない
自立訓練は基本的に障害を抱えた方や長く入院していた方などが対象になります。ただ、施設によっては介護が必要な人だけでなく、就職したけれど周囲になじめなかったり環境が悪かったりしたことが原因で離職してしまった若い人も受けられます。
いろいろな人が社会復帰できるようサポートしてくれるのが自立訓練の魅力の1つです。悩みを抱えている方は、ぜひ近くの事業所を調べてみてください。
まとめ
自立訓練の訓練方法やプログラムの種類について紹介しました。家事や着替え、公共交通機関の利用方法といった生活に関することだけでなく、対人スキルやパソコンの使い方、ビジネスマナーなど、幅広い能力を身に付けることにつながります。スタッフやほかの利用者とコミュニケーションをとることで、自己表現スキルも磨かれていくでしょう。さまざまな人を受け入れる体制が整っているので、よく調べて利用者にあった事業所を見つけることが重要です。