情緒不安定になる原因は?症状や対処法について解説。

公開日:2023/10/19  

情緒不安定とは、怒りが収まらなかったり、急に涙があふれたりするなどの感情の起伏が激しい状態を指します。人間だれしも感情の波はあるものですが、情緒不安定な状態が続くと仕事や日常生活にも影響を及ぼします。

精神的・身体的疾患が表れることもあるため、早めに対処することをおすすめします。本記事では、情緒不安定になる原因や症状、対処法について解説していきます。

情緒不安定とは

情緒不安定とは、感情の起伏が激しい状態のことです。イライラしたり、怒ったりする攻撃的な感情が出る一方で、急に涙があふれたり、落ち込んだりするネガティブな感情が出るなどの落差が激しいという特徴があります。

情緒不安定な時は、イライラする原因がわからなかったり、特に怒る場面でないようなときに感情が止められなかったりします。怒りをだれかにぶつけてしまっても、抑え込んでも、いずれにしてもストレスが溜まってしまいます。

また、情緒不安定になると、涙が止まらなくなるような方もいます。突然涙が出る原因としては、コントロールできない感情やストレスを身体から排除しようとしているのではないかと考えられています。

そのほかにも、仕事に集中できなかったり、食欲が増加もしくは減少したり、睡眠障害が起こったりするなどの症状が良く見られます。これらの症状が表れた場合は、自身が情緒不安定な状態にあるのではないかと立ち止まって考えてみることが大切です。

情緒不安定になる原因

情緒不安定になる原因としては、様々なものが挙げられます。身体的要因、精神的要因、環境的要因の大きく3つに分けて解説します。

身体的要因

睡眠不足などで生活リズムが乱れることで、情緒不安定になることがあります。睡眠は脳と身体の疲れを取るために不可欠とされており、成人男女で7時間~9時間は必要と考えられています。

寝不足の状態が続くと、免疫が弱る原因にもなり得るため、適切な睡眠時間の確保が重要です。また、日ごろからアルコールやカフェインを多く摂取する方は注意が必要です。

アルコールやカフェインは、睡眠や自律神経に作用するといわれています。人それぞれ許容量が異なるため、気づかないうちに過剰摂取になってしまっていることもあります。

女性の方は、月経周期に伴って女性ホルモンのバランスが崩れてしまい、情緒不安定になることがあります。時期や重さには個人差があります。

精神的要因

ストレスが溜まることで、情緒不安定な状態が表れます。ストレスとは、外部からの刺激によって精神的に緊張した状態が続くことです。

人間関係の悩みやショッキングな出来事によって、ストレスが生じ、情緒不安定な状態が表れます。また、精神疾患の症状の一つとして、情緒不安定が生じることもあります。

たとえば、うつ病や統合失調症、パニック障害など、気分の変化が激しい疾患を持つ場合、情緒不安定になりやすいといわれています。

環境的要因

環境の変化から情緒不安定な状態になることがあります。たとえば、入学や転職など、自身の置かれた環境が変化することで、心身的に負担に感じる方もいます。

また、昇進や結婚などの喜ばしい出来事であっても、無意識のうちにストレスを感じている場合があります。そのほかの環境的要因としては、季節の変わり目が挙げられます。

季節の変わり目には、気圧が変化したり、寒暖差が生じたりして、身体に不調が出ることがあります。さらに、冬になると気分が落ち込む「冬季うつ」などの影響を受けるケースもあります。

情緒不安定に男女差はあるか

情緒不安定な症状に男女差はあるのでしょうか。女性の場合と男性の場合に分けて解説します。

女性の場合

一般的に女性の場合、月経によるホルモンバランスの影響を受けやすいといわれています。ホルモンバランスが崩れることで、感情の起伏が大きくなります。

とくに月経前に情緒不安定になりやすいという方は、PMSの可能性もあります。PMSとは、月経前症候群を意味しており、仕事に集中できなかったり、突然起こってしまったりします。

精神的な症状が強く表れるという方は、PMDD「月経前不快気分障害」の可能性があります。自身が当てはまるという場合は、婦人科や心療内科を受診することをおすすめします。

男性の場合

情緒不安定には、月経の有無のほかに、とくに男女差は見受けられません。男性の場合は、現在置かれている環境やストレスの受けやすさが影響していると考えられます。受診を迷う方もいますが、これまでに挙げた症状が見受けられる場合は、精神科や心療内科の受診を検討してみるのも良いでしょう。

情緒不安定の治し方

情緒不安定は、疾患や障がいとは位置づけられていません。しかし、情緒不安定な状態が長期間にわたって続くと、うつ病などの精神疾患につながることもあるため、早めに対処しましょう。

不安を感じた場合は、精神科や心療内科、婦人科で相談してみるとよいでしょう。受診のタイミングとしては、情緒不安定な状態が数週間~数か月続いているような場合もしくは毎月、毎年同じ時期に生じるような場合です。そのほかにも、仕事や日常生活に支障をきたすような場合も受診を検討してみましょう。

情緒不安定は特に疾患ではないため、特定の治療法がありません。そのため、基本的には症状に合わせた治療が行われます。たとえば、不眠に悩んでいる場合は、睡眠導入剤が処方されるなどの対処療法が行われることになります。

ただし、情緒不安定のなかでも「気分が落ち込む」「朝起きられない」「何も楽しめなくなった」などの状態が2週間以上続く場合は、うつ病と診断されることもあります。うつ病と診断された場合は、薬物療法によって症状の改善を目指していきます。

ストレスを受けやすい方には、認知行動療法などの対処が行われることもあります。

情緒不安定の対処方法

情緒不安定になった時、自身でできる対処法としては、「セルフモニタリング」があります。セルフモニタリングとは、自分の状態を記録することを指します。

情緒不安定になったときには、自分の状態を客観的に把握することが大切です。感情の起伏は自分では気づきにくいため、紙に書き出したり、記録をつけたりすることで、その時位の状況やタイミングを掴めるようになります。

また、情緒不安定になるときは、自律神経が乱れていることがあります。自律神経には、活動的になる「交感神経」とリラックスする「副交感神経」があり、体内で休むことなく、働き続けています。

この自律神経の働きが乱れると、本来の機能を発揮できなくなり、疲れやすく、眠れないなどの不調が表れます。スマートフォンやパソコンの画面から発せられるブルーライトは、交感神経を活性化させるといわれています。寝る数時間前には視聴を控えることで、睡眠の質が格段と向上します。

また、昼夜逆転生活も心身にとって悪影響を及ぼします。体内時計が乱れたときには、朝日を浴びるのがおすすめです。朝起きたら、まずカーテンを開けることで、体内時計がリセットされます。

そのほかにも、ヨガやストレッチには自律神経を整える効果が期待できます。

まとめ

今回は、情緒不安定になる原因や症状、対処法について解説しました。情緒不安定な状態とは、イライラしたり、涙があふれたりするなど、自身で感情をコントロールできない状態を指します。

特に、疾患や障がいではありませんが、情緒不安定な状態が長期間続くと、心身に悪影響を及ぼす可能性もあります。場合によっては、うつ病につながることもあります。

情緒不安定を解消するためには、自律神経を整えることが有効といわれています。自身で改善が難しい場合は、医療機関に相談してみましょう。

本記事が参考になれば幸いです。

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